不動産売買マーケットの特徴

不動産の売買マーケットについては、たくさんの専門家が様々な角度から解説をしているが、筆者が重要だと考える不動産サイクルについての事実と意見をまとめる。

不動産の市場価格は、株や投資信託などの金融商品などと比べると、時間当たりに対する価格の変動割合は小さい。つまり、ひとたび不動産市況が上昇(下落)始めると、それは大きなトレンドとなり、以降も継続して上昇(下落)傾向にある。

少しインターネットで検索をするだけでも、不動産の市況には周期性があるという記事を見つけることができるし、例えばその周期を「7年」とか「15年」とかであると指摘している人はいる。しかし、筆者は、それらの一定の年月で市況が繰り返されるという指摘に対しては懐疑的だ。

これら不動産市況の周期説の発想の源は、いわゆる「経済周期(景気循環)」ではないかと筆者は推測する。確かに、不動産と実体経済とは一定の相関性が認められるし、不動産の勉強をする者は、必ずと言っていいほど経済学を勉強する。マクロ経済学の学習メニューには、通常、景気循環が入っているので、それをベースに不動産市況の周期説を唱える人が出てくることに不自然はない。「キチンサイクル」(4年)、「ジュグラーサイクル」(10年)、「クズネッツサイクル」(20年)、「コンドラチェフサイクル」(50年)などが景気循環に関する具体的な例だ。

確かに、不動産価格には上昇局面があり、そのあと、下降局面に入り、再び上昇局面を迎え、その後も同じように上下の循環があるという意味で、それらの動きをグラフ化すれば、一定のサイクル(波)が観察できる。しかし、例えば7年周期であるとか、15年周期だとかいう「一定の」周期があるということについては、極めて否定的な立場を取っている。

仕事柄、不動産価格の変動のグラフを見る機会は多いが、上記のような「一定の」周期を見出したことはない。また、不動産価格は、人口動向や海外からの資金の流入などに伴う需給関係や金利など、極めてたくさんの価格形成要因の影響を受けて変動することが知られており、それら要因が複雑かつ有機的に組み合わさって市況が形成される以上、不動産の価格に「一定の」周期が出現するということは考えられないからだ。

だからと言って、不動産の「マーケットサイクル」自体を筆者は否定はしていない。むしろ不動産を購入する者すべてが、このマーケットサイクルを注視すべきだと思っている。ここで不動産市況のマーケットサイクルの定義と観察の仕方を読者と共有したい。以下は、一般社団法人日本不動産研究所が発表している記事を参考に筆者が再作成したマーケットサイクルだ。

ちなみに、この不動産投資家調査に参加する機関投資家のほとんどが、現在(2024年11月)のマーケットステータスを⑤もしくはその近辺だと理解している。しかし、早合点をしてはいけない。私の記憶では⑤の状態がここ数年ずっと続いているのだ。すなわち、「直ちに⑥に移行して、不動産価格が下落する訳ではない」ということに十分に留意する必要があるのだ。

人生には様々なステージがあり、そろそろ自宅を購入したいと考えている読者もいると思う。また、市況の追い風を受けて、これから不動産投資を始めることを検討している読者もいると思う。個人によって不動産に求めるものは変わるし、どのタイミングで不動産購入をするのがベストなのかは、個々人の価値観や人生のステージによって変化するため、一概には言えない。つまり「この考え方に従えば正解」というような公式は無い。

すっきりまとめることができずに申し訳ないが、一般的に入手できる情報を取集し、不動産マーケットサイクルのうち、現況がどのあたりにあるのかは、各自が十分に留意して、自宅や収益不動産の購入を判断するのが良いと筆者は考える。ただ、個人的には、そう遠くない将来に不動産価格は緩やかな下降局面に入るのではないかと筆者は考えている。

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